探偵という仕事を聞くと、多くの方がテレビドラマや漫画に登場する「名探偵」をイメージするかもしれません。鋭い推理力で難事件を解決し、どんな謎も解き明かす。しかし、現実の探偵の仕事は、フィクションの世界とは大きく異なります。
【フィクションの探偵】
- 推理が主役: 探偵コナンやホームズのように、与えられた情報や現場の状況から、驚くべき推理力で事件の真相を解き明かすのが中心です。
- 事件の解決: 殺人事件や窃盗事件など、警察が扱うような「事件」を解決することが主な仕事です。
- 危険な状況への単独突入: 時に危険な場所に単独で潜入したり、犯人と直接対決したりするシーンも描かれます。
- 探偵バッジの提示: 身分を示す探偵バッジを見せて、相手を信用させたり情報を引き出したりします。
【現実の探偵の仕事】
現実の探偵の仕事は、推理よりも**「地道な情報収集と証拠固め」**が主役です。
主業務は「浮気調査」と「人探し」:
テレビドラマのような殺人事件を捜査することはありません(それは警察の仕事です)。現実の探偵の業務の多くは、個人の浮気・不倫調査、行方不明者の捜索、企業の信用調査、ストーカー対策などが中心です。
法律と倫理の遵守
探偵は「探偵業法」という法律に基づいて業務を行います。違法な盗聴・盗撮、GPSの無断設置、他人の個人情報の不正入手などは厳しく禁止されています。あくまで合法的な手段(尾行、張り込み、公開情報の収集、聞き込みなど)で調査を行います。
地道な尾行と張り込み:
派手なアクションよりも、目立たず、ひたすら対象者の行動を監視し、記録することが仕事の大部分を占めます。何時間も同じ場所で待ち伏せしたり、人混みの中で尾行したりと、忍耐力と集中力が求められます。
証拠の重要性:
探偵が集めるのは、法的に有効な「証拠」です。写真や動画、行動記録などがその中心となります。これらは後の裁判や交渉で、依頼者の主張を裏付ける決定的な材料となります。推理がどんなに正しくても、証拠がなければ何も始まりません。
危険回避と安全第一:
現実の探偵は、危険を冒して事件に突入することはありません。むしろ、トラブルや危険を回避し、安全に、そして確実に証拠を集めることが最優先されます。身バレや対象者との接触は避けるべき事態です。
探偵バッジは存在しない:
フィクションに出てくるような「探偵バッジ」は、現実には存在しません。探偵業者は、公安委員会への届出番号を明示することが義務付けられています。
現実の探偵は、ドラマのような華やかさとは異なりますが、依頼者の深刻な悩みに寄り添い、真実を明らかにするために、地道で専門的な努力を惜しまない「裏方」のプロフェッショナル集団なのです。